テレビでもなく、モバイルでもなく、新たなエンターテインメントメディアとしてのモビリティ「AFEELA」は、どのような可能性を秘めているのか。AFEELAのパートナー企業であるCrunchyrollの新規事業担当 執行副社長兼ゲーム部門ゼネラル・マネージャーであるTerry Li(テリー・リ)は、文化を超えて愛されるアニメのクロスカルチャーな面を、AFEELAがさらに加速させると信じている。
目次
- モビリティは、新しいコンテンツの消費を生むか?
・Crunchyrollとは
・移動とアニメ
- アニメ文化をエンパワーする、AFEELAの可能性
・米国でのアニメの影響力
・AFEELAとアニメの協調
クランチーロール|Crunchyroll
2006年にアニメストリーミングサービスとして創業。2024年現在は約50,000エピソード、合計25,000時間を超えるコンテンツを配信し、毎シーズン約60のアニメタイトルをラインナップに追加している。200以上の国と地域、12以上の言語でアニメコンテンツの同時配信や吹き替えをサービスを展開。有料加入者数は1,500万人以上。
モビリティはアニメの消費をどう変える?
──始めにCrunchyrollについて教えてください。ストリーミングサービスだけではなく、アニメファンに向けたさまざまなサービスも展開していますよね?
Crunchyrollはアニメストリーミングサービスとして産声を上げましたが、いまは作品の劇場公開や世界各国での大小さまざまなライブイベント、クロスプロモーションなどを行なっています。オンラインストアを通じて自社やサードパーティの製品やグッズも展開したり、アニメゲームの提供やポッドキャストを制作したりなど、ライフスタイルからエコシステムの構築まで、アニメに関わるあらゆる領域に包括的に関わっています。
──今日はモビリティとアニメについてお話を聞かせてください。アニメの文化やストーリーテリングがモビリティと交わることで、どのような相互作用があると思いますか?
モビリティの中という新しいアニメ視聴環境で、どのようなメディアコンテンツ消費のトレンドが生まれるのかは注視したいですね。例えば「誰が」「誰と」「どのくらいの時間」車内でアニメを観るのかといった傾向です。これが、例えば一話の長さが適切かどうかを再考するきっかけになるかもしれません。
ただ、新しいプラットフォームやメディアで提供されることによって、アニメそのものが変わるとは思いません。人々はアニメのテーマやクリエイティブなストーリーテリングを愛しているからです。
アニメ文化をエンパワーする、AFEELAの可能性
──グローバルや米国市場における、現在のアニメコンテンツの社会に対する影響力をどのように捉えていますか?
言うまでもなく、アニメ文化は世界に浸透しています。その理由としては、テーマやモチーフが非常に広範で包括的であることが挙げられるでしょう。ジャンルだけを見ても多種多様なカテゴリーがあり、それぞれにさまざまな焦点の当て方が存在します。文化やアイデンティティに関わらず、誰もが共鳴することができる。それがアニメの面白いところです。
その一例が、特定のアニメが番組を超えて、時代の精神を投影していることです。米国のスポーツ選手が試合中にアニメのキャラクターのポーズを取り、アニメファンはそれをすぐに認識する。彼らにとってアニメは、数十分というアニメそのものの枠を超えた、長い人生とともにあるものなのです。
AFEELA Prototype 2024
─文化を超えて文脈を共有できる、クロスカルチャーな点があるということですね。AFEELAを通じて、それをどう加速できるでしょう?
海外のアニメファンたちが、自分たちがサブカルチャーの一部ではなく、メインストリーム、あるいは時代の精神の一部であると感じられるようにすることではないでしょうか。
これは私たちの仮説ですが、AFEELAの大きな強みはそれぞれのエンターテインメント分野が従来とは異なる消費者や市場とつながれることにあると思っています。アニメであれば、作品が映画や音楽と言ったほかのエンターテインメントのファンにも広がることを指します。それによってアニメはさらに多くのオーディエンスに広がり、ファンは自分自身がメインストリームカルチャーにいると感じることができる。そうした意味で、AFEELAは非常に大きな可能性をもっているのです。
Interviewer & Writer: Takuya Wada
Editor: Asuka Kawanabe